Wednesday, December 9, 2009

抱きしめたい

君はまだ僕が幼かった頃、我が家にやってきました。
小さくて、ティッシュ箱に入ってしまいそうなくらいだった君は、すぐに
兄弟になりました。
散歩の時間になると、自分でヒモをくわえて、思い切り尻尾を振りながら
走ってくる君の姿を思い出します。

春の日を浴びて金色に光る君の体。

座ってると人の膝にアゴを乗せて一休みする愛らしい癖。

寝ながら尻尾を振ってる時の嬉しそうな顔。
どんな夢を見てたのかな。

散歩で、君が引っ張るヒモで右手が持っていかれる感覚が、今でも鮮明に
残っでいます。


僕が大人になると、いつの間にか年老いた君は、僕の右手を引っ張る力は
無くなっていました。
それでも、散歩の度に嬉しそうなな君が、抱きしめたくなるくらい可愛く
て。。


昨日の朝、永い眠りについた君が残してくれたものは、君がいなくなった
事で、僕らの心にポッカリと開いた大きな穴を、埋めて余るくらい沢山
あって。でも、それを集めて心の穴に、はめ込むまでにはもう少し時間が
かかりそうです。

最後にもう一度だけ、抱きしめたかった。

そばにいて、君の旅立ちを見送りたかった。

50年後、60年後、いつになるかは分からないけど、もう一度君を抱
きしめる時は、胸を張って君に会えるように、こっちでしばらく頑張りま
す。

その時がきたら、またヒモをくわえて、思い切り尻尾を振りながら走って
くる君を、散歩に連れて行かせて下さい。

君がくれた全てに感謝の気持ちを込めて。

ありがとう。

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